カイコの変態分化に伴う遺伝子発現を調べる場合、EST解析とともにタンパク質の網羅的解析、即ち時系列的なプロテオーム解析が必須である。これまでにEST解析が行われてきたものと同じ品種「大造」の組織におけるプロテオーム解析を開始した。 五齢3-4日目のカイコを解剖し、雌雄それぞれの中部・後部絹糸腺、中腸、脂肪体等の組織を得た。タンパク質を抽出後、二次元電気泳動によって分離し、各スポットをアルキル化後、トリプシン分解した。それをキャピラリーHPLC-MS装置(LCQ Deca)によって分析し、ショウジョウバエゲノムデータおよびカイコESTデータをアミノ酸配列に翻訳したものを用いて、プログラムMascotおよびSequestによってタンパク質の同定を試みた。 その結果、質量分析によってタンパク質をコードする遺伝子が多数同定されたほか、ショウジョウバエゲノムデータに対してはヒットしないものの、カイコESTデータに対してはヒットしたものなども見出された。また、質量分析の結果から、EST塩基配列解析中に起きた読み枠のずれなども見出すことができた。