日本蚕糸学会 学術講演会 講演要旨集
日本蚕糸学会第73回学術講演会
セッションID: 215
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LPSによるカイコ抗菌性ペプチド遺伝子転写制御機構の解析
*古川 誠一田中 博光中澤 裕山川 稔
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抄録

 昆虫の抗菌性ペプチドは、細菌などの侵入に対する生体防御機構として一過的に合成誘導されることが知られており、カイコからも既に数種類が単離されている。またそれらの遺伝子の発現解析も行われ、LPSの刺激に対して速やかに発現が誘導されることが明らかとなっている。今回我々はこの誘導に関わる遺伝子発現制御領域を同定するために、アタシン、モリシン、レボシン、セクロピンB遺伝子について、5’上流領域をルシフェラーゼ遺伝子に接続したレポータープラスミドを作り、培養細胞にトランスフェクションすることによってプロモーター活性の測定を行った。その結果、すべての遺伝子に複数個確認されているNF-kB結合様配列を含む領域を接続したプラスミドをトランスフェクションしたとき、LPS処理に対してルシフェラーゼ活性は上昇したが、それぞれ一つのNF-kB結合様配列を欠失させたプラスミドではそのLPSに対する反応性が失われることがわかった。この実験結果から、LPSの刺激によって上昇するプロモーター活性には複数のNF-kB結合様配列が協調的に機能するのではなく、一つの配列が重要な働きをしていることがわかった。

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© 2003 社団法人 日本蚕糸学会
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