日本蚕糸学会 学術講演会 講演要旨集
日本蚕糸学会第73回学術講演会
セッションID: 423
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家蚕・野蚕色繭々層セリシンの機能特性
*安田 勝年山崎 昌良山本 俊雄
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抄録

絹は吸放湿性、紫外線吸収性、有害ガス吸着性の機能の他に抗菌性、抗酸化作用の機能についても注目されていることから、インナー衣料や化粧品基材に利用する等の用途開発が盛んにおこなわれている。特に黄色繭、緑繭にはカロチノイド及びフラノボイド系色素成分が多く含まれていると報告されており、またその色素成分は、白繭に比べて強い抗酸化作用が認められると報告されている。(山崎ら1998)そこで演者らは、特に各種の色繭家蚕・野蚕色繭々層から抽出したセリシン機能性の差異について調査した。試料の抗酸化活性は、DPPHフリーラジカルの消去活性及びチロシナーゼ阻害活性について吸光度法(脂質過酸化実験法、517nm.及び475nmの吸光度減少)で測定した。その結果各種色繭蚕品種類における繭層のフリーラジカル消去活性能は、繭層の熱水及び溶媒抽出とも大造>PCG>笹繭>PCY>鐘光×黄玉>白繭の順で小さくなった。また、抽出温度を高くした場合、その消去活性はあまり低下しなかった。特に各種野蚕の繭層抽出セリシンにおいては、フラノボイド系色素を多く含む天蚕よりも、タンニン成分を多く含むエリ蚕の方がDPPH消去活性能力が高かった。なお、チロシナーゼ活性の抑制効果でも、各種蚕品種間において同様な傾向がうかがわれた。

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© 2003 社団法人 日本蚕糸学会
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