カイコに対し特異的殺虫活性をもつB. thuringiensisHD1株由来のCry1Aaトキシンは、その三次構造や作用機作が解明されてきた。一方、Cry1Aaトキシンに対するカイコのレセプター分子として、アミノペプチダーゼN(APN)とカドへリン様糖タンパク質(CAD)が報告されている。これらのレセプター分子は、トキシンとの特異的結合領域と複数のイソフォームも報告されているが、トキシンとレセプターの作用機作はまだ解明されてない。そこでカイコAPNイソフォームとCry1Aトキシンとの詳細な相互作用解析を行うことにした。カイコAPNイソフォームのBmapn1,Bmapn2をクローニングし、トキシンとの特異的結合領域を、Glutathione S-transferase(GST)融合タンパク質として大腸菌内で発現させた。この二つのGST融合タンパク質とCry1Aトキシンとの相互作用について、リガンドブロット並びに表面プラズモン共鳴法を用いて解析した。その結果、それぞれのAPNイソフォームとCry1Aトキシンとの相互作用に違いがあることが明らかとなった。