日本蚕糸学会 学術講演会 講演要旨集
日本蚕糸学会第73回学術講演会
セッションID: 331
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絹糸昆虫類の卵殻─クス蚕(Caligura japonoca japonica)卵の卵殻形態
*河口  豊一田 昌利日下部 宜宏古賀 克己
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抄録

 絹糸昆虫類の一種であるクス蚕の卵殻について表面と断面の構造を実体顕微鏡と走査型電子顕微鏡とを用いて観察した。クス蚕卵の表面は滑らかであり、ウズラの卵のような濃褐色の「まだら紋様」が観察されるが、表面の構造による紋様ではなく、色素によるものである。卵の前極部外部表面には6から9枚の花弁からなる精孔(精子の進入口)が開口し,7重から8重の花弁状の紋様をが観察された。その内部表面には精子が卵の前極原形質に進入するための精孔副枝導管が4__から__8本分布していた。側面部,側面周辺部および後極部には大型の気孔が多数分布していたが、網目状の区画紋様(ポリゴン)は全く観察されなかった。卵殻の断面は極めて薄い柱梁組織構造をとる内層と薄膜シート状の外層および最も厚く、卵殻の主要部分を占める中層の三層から構成されていた。中層はその構造形態からさらに4つの部分、すなわち、多孔質状あるいはスポンジ状の層、気室をもった垂直の層、不規則な斜めの層および規則正しいラメラ層、に区分された。

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© 2003 社団法人 日本蚕糸学会
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