蘇生
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顎口腔再建術の全身麻酔中に心室性頻拍を呈した重度喫煙者の1症例
下田 元城戸 幹太佐藤 実猪狩 俊郎岩月 尚文
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1999 年 18 巻 1 号 p. 54-57

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抄録

心循環系に病歴のないheavy smokerに対する顎口腔再建術中に, 発作性の心室性頻拍 (VT) を経験した。経気管切開孔挿管のうえ亜酸化窒素・イソフルランにより麻酔を維持した。術中突然正常洞調律からVTに移行し, 初期治療としてリドカインを静注したところ奏功した。ニトログリセリン・ジルチアゼムの持続投与を開始後ST低下傾向が漸次改善し, 以降循環動態は著変なく良好に経過した。本患者には, 喫煙に起因した心筋虚血の潜在が考えられた。さらに, 長時間手術による内因性カテコラミンの蓄積・外因性薬物が冠血流再分布に相互に作用し心筋酸素需給関係に不均衡を生じた結果, 虚血が増悪しVTに至った可能性が推察された。

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