蘇生
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講座
虚血性脳障害のメカニズム
内野 博之福井 秀公宮下 亮一屋良 美紀原 直美斉木 巌三浦 仁畑山 聖
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2013 年 32 巻 2 号 p. 94-105

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抄録

 脳は,呼吸・循環などの生命維持の制御や意識・記憶・感情などの高次脳機能を司る重要な臓器であるが,再生能力に乏しいため一旦傷害を受けると重篤な後遺症を残すことに繋がるという特徴を有している。脳蘇生に伴う急性期の治療の成否は,①脳への早期の血流再開とエネルギー代謝の改善(脳機能回復を念頭に入れた脳蘇生法)と②血流再開後の脳保護(脳障害から脳を保護する治療法の適用)③蘇生後症候群の進展阻止が大きな柱となるものと思われる。「蘇生による臓器機能回復における脳保護」を考えるうえで分子生物学的観点から①虚血性神経細胞障害の分子機序の理解②脳ミトコンドリア機能の特徴とその重要性③脳障害を反映しうるバイオマーカーやその捕捉法の現状などその機序を理解していくことが大切であると考える。

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© 2013 日本蘇生学会
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