2023 年 60 巻 3 号 p. 248-252
小児の医薬品開発は,一般的に治験実施上の問題や開発コスト等の問題があり,国内外問わず進みにくい現状がある.この問題に対する取り組みの一つとして,「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において医療上の必要性を評価し承認申請のために実施が必要な試験の妥当性や公知申請への該当性を評価すること等により,製薬企業による未承認薬・適応外薬の開発を促している.
本スキームを活用し小児用の医薬品開発が進められ,一部の医薬品に関しては小児の効能・効果及び用法・用量等が定められた.しかし,企業の自主的な医薬品開発には結びついていない現状や小児剤形が不足しているといった課題が残されていたことから,医薬品医療機器等法(以下,薬機法)の令和元年改正により,特定用途医薬品等指定制度が新たに新設された.この制度は,既存の希少疾病用医薬品等指定制度には該当しないものの医療ニーズがあると考えられる小児薬用量の追加や小児用剤形の開発等を特定用途と定め,優先的な取り扱いに加え,薬価上のインセンティブを与えるというものである.
薬事規制だけでなく,小児用医薬品開発の効率化は,医薬品規制調和国際会議(ICH)においても進められており,ICH E11Aでは「小児医薬品開発における外挿」が検討され現在ステップ3まで到達したところである.このように法的な側面だけでなく小児用医薬品開発の在り方等を通し,今後も企業や臨床現場の意見を聞きながら小児用医薬品の開発促進に取り組んでまいりたい.