日本小児血液・がん学会雑誌
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シンポジウム2: 再照射
小児脳腫瘍に対する再照射:実践と課題
山崎 夏維
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2021 年 58 巻 3 号 p. 199-207

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抄録

脳への再照射は従来禁忌とさえ考えられていたが,放射線治療モダリティーの多様化や照射技術の向上を背景に,近年では比較的広く実施されるようになった.しかし,再照射の適応や適切な照射方法は,疾患や症例毎に異なっており,高い放射線壊死のリスクからも,慎重な実施が求められる.DIPG増悪後の再照射は有効性が高く,他に有効な治療手段がないため,積極的に実施されるべき治療であるが,最適な照射時期や照射線量については今後の課題である.再発後も比較的長期予後の期待される上衣腫については,晩期障害のリスクを十分に考慮した再照射計画が必要であるが,近年再発後早期からの全脳全脊髄照射を用いた再照射の有効性が報告されており,今後広まっていく可能性がある.一方で,累積線量が極めて高線量となるため,局所再照射においては,前回の照射内容を十分に加味した厳密な照射計画が求められる.髄芽腫では初期治療で全脳全脊髄照射が使用されるため,再照射による放射線壊死のリスクが高いものの,再照射による全生存期間の延長効果が示されている.初期治療での照射内容や再発部位によって,実施可能な再照射の線量や範囲が異なるため注意が必要である.Bevacizumabは放射線壊死に対する有効な治療手段であり,小児での有用性も近年示されている.

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