2018 年 55 巻 1 号 p. 23-27
慢性活動性Epstein-Barrウイルス感染症(chronic active EBV infection; CAEBV)による血球貪食性リンパ組織球症(hemophagocytic lymphohistiocytosis; HLH)の8歳男児を報告する.ステロイド治療や多剤併用化学療法に不応でHLHの病勢が抑えられず当院へ転院した.化学療法を工夫してもなお病勢は悪化した.母親からの緊急末梢血幹細胞移植(peripheral blood stem cell transplantation; PBSCT)を施行した.移植前処置後解熱し,全身状態は改善した.移植後18日目に完全キメラを確認し,EBV-DNA量は正常化して寛解に至った.CAEBVによるHLHに対してステロイドや多剤併用化学療法が無効の場合,速やかに造血幹細胞移植を決断すべきである.