造血幹細胞移植が行われるようになって30年以上が経過し,幹細胞ソースや前処置も多様化している.しかしながらその一方で,現在においても感染症のコントロールは移植の成否を決める重要なポイントである.移植時に発症する血流感染症の危険因子としては再生不良性貧血およびWiskott Aldrich症候群があげられる.さらに再生不良性貧血の中では移植前の免疫抑制治療,非血縁ドナー,20回以上の輸血歴,血液型major mismatch,GVHD予防のタクロリムスの使用,発症から移植までの期間が300日以上などがあげられた.さらに深在性真菌症においては慢性GVHDが関与している可能性が極めて高いことが明らかとなっている.HHV6の再活性化は成人と同様に臍帯血移植が危険因子であることが明らかとなった.特に移植後に抗利尿ホルモン不適切分泌症候群が合併した例においては(特に臍帯血移植例では),HHV6の再活性化を疑い早期治療を検討すべきである.感染症のリスク因子を把握してその対策に努めることが肝要と考えられる.