日本小児血液学会雑誌
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同種骨髄移植後に門脈血栓症を発症したBurkittリンパ腫の1例
溝口 史剛外松 学金沢 崇小川 千登世森川 昭廣
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2001 年 15 巻 2 号 p. 119-123

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抄録

Burkittリンパ腫の患者に対し非血縁者間骨髄移植 (BMT) を施行し, 移植後に門脈血栓症 (PVT) を発症した症例を経験した.症例は15歳の男児で, 右頸部腫脹を主訴に近医を受診, 病理学的検査でBurkittリンパ腫と診断された.放射線治療・化学療法で完全寛解を得たが再発したため, 前処置として全身照射, etoposide, ifbsfamideを使用してBMTを施行した.Day24よりFDP, D-dimerが上昇し, 血栓検索のため施行した超音波検査で門脈内にhighecho領域を認め, CTで門脈に血栓を認めた.PVT発症時, 血中proteinC, antithrombin IIIの低下はなく, thrombomodulinが軽度上昇していた.Urokinaseとheparinにて血栓溶解療法を開始し, day55のCTで血栓の消失を確認した.SCT後には稀ではあるがPVTを発症することがあり, 超音波検査はその診断にきわめて有効であった.PVTの原因としては移植後の過凝固状態と血管内皮細胞障害が考えられる.

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