小児歯科学雑誌
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Enzyme immunoassay法によるヒト唾液中のS-IgA に関する基礎的研究
小児と成人のS-IgA濃度,S-IgA/総蛋白比率の比較
酒井 貫充山田 博高須 賀三郎中島 一郎赤坂 守人
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1986 年 24 巻 3 号 p. 483-494

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抄録

E.I.A.S-IgAテスト(M.B.L.社)の信頼性の検討を行い,健常者の混合唾液においてsecretory IgA(以下S-IgAと略す)濃度,S-IgA/albumin比率,S-IgA/総蛋白量(以下T.P.と略す)比率の日内変動を検討した。さらに小児51例,成人42例の混合唾液および成人27例の耳下腺唾液を採取しS-IgA濃度,S-IgA/T.P.比率を測定し以下の結論を得た。
1)稀釈試験,添加回収試験,再現性試験より E.I.A.S-IgAテストは信頼性が高いことがわかった。
2)唾液中のS-IgA濃度は唾液採取条件を厳密に規定しても日内変動が大きく,S-IgA濃度の日内変動を補正するためには,S-IgA/albumin比率は不適当であったが,S-IgA/T.P.比率は適当であった。
3)小児(3~6歳)の唾液中のS-IgA濃度は成人に比較し有意に低い値であった。S-IgA/T.P.比率も同様である。
4)S-IgA濃度,S-IgA/T.P.比率とも小児と成人において性差はみられなかった。
5)混合唾液と耳下腺液のS-IgA濃度には相関はみられず,混合唾液の方が有意に高い値であった。S-IgA/T.P.比率も同様である。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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