小児歯科学雑誌
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シロップ系薬剤における蔗糖含有量について
谷林 潤子藤田 晶子梅原 みどり河野 道子増田 典男前田 憲昭
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1986 年 24 巻 2 号 p. 344-350

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抄録

食生活において,蔗糖は多種,多様の食品に含まれており,様々な形で摂取されている。多くの食品中に含まれる蔗糖は,自然の形のものは少なく,その大半は甘味を与えるための添加物として含有されている。
我々が,日常治療の目的で処方するシロップ系薬剤に,添加物として蔗糖が含有されていることは,あまり知られていない。そこで我々は,シロップ系薬剤の甘味成分の添加状態,服用の実態を調査した。
我々は,使用頻度の高い薬剤13剤に関し,蔗糖がどのような濃度で含有されているかについて調査し,同液体の形状を示すジュース類と比較してみた。また,そのシロップ系薬剤が,実際どのような形で服用されているのか,またいかなる意識の下で服用されているのかについて,服用歴のある小児184名(アンケート対象は母親で,103名)に関し調査し,次のような結果を得た。
1)大半のシロップ系薬剤の1gあたりに,800mg以上の蔗糖の含有を認めた。
2)対象とした小児の約88%が,シロップ系薬剤の服用を拒否した経験があり,その半数が,砂糖やジュースと併わせて服用していた。
3)服用後に,口腔内の清浄を心がけた者が35%であったが,目的は薬の味を消すためである。以上のように,薬剤故に特別な指導もなく,服用されているシロップ系薬剤について,処方時にその服用法についての指導の必要性が認められた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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