1982 年 20 巻 2 号 p. 253-263
著者らは,部分的無歯症, 低汗, 萎縮性鼻炎およびアトピー性皮膚炎を伴った先天性外胚葉異形成と診断された, 初診時6歳11ヵ月の男児において, 歯科領域に現われた症状の観察ならびに分析を行い, 歯科治療を施しながら8歳7ヵ月時まで経過観察を行った結果, 次のような結論を得ている.
1 . 乳歯は〓, 永久歯では〓の先天的欠如が認められた.
2 . 歯冠の形態異常が〓および〓に認められ, 骨年齢がほぼ正常であるにもかかわらず, 永久歯においては萌出遅延および歯根の発育遅延を認めた.
3. 飯塚および坂本の方法を用いて,頭部X線規格写真の分析を行った結果, 上顎骨の劣成長とともに上下顎骨の相対的発育量の不足が認められた.