小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
原著
首都圏周産期母子医療センターにおける歯科の連携状況および連携必要度について
山田 裕之田村 文誉
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 57 巻 4 号 p. 457-464

詳細
抄録

入院中や在宅移行時の高度医療依存児に対して,医科と歯科との連携状況や歯科との連携必要度を調査する目的で,首都圏にある周産期母子医療センター(総合周産期母子医療センター:30 科,地域周産期母子医療センター:70 科)にアンケートを行った。回収率は,55.0%であった。

入院中に連携できる歯科は,総合周産期母子医療センター87.5%(院内歯科),地域周産期母子医療センター66.7%(院内歯科)であった。しかし,実際に連携を行っている場合の平均値は,総合周産期母子医療センター23.8%(中央値10.0%),地域周産期母子医療センター21.7%(中央値10.0%)と低値であった。 退院時に連携できる歯科は,総合周産期母子医療センター13.6%,地域周産期母子医療センター23.3%であった。実際に連携を行っている場合の平均値は,総合周産期母子医療センター22.0%(中央値10.0%),地域周産期母子医療センター13.5%(中央値10.0%)であった。入院中と退院時の連携必要度の平均値は,総合周産期母子医療センター68.8%(中央値80.0%)と70.0%(中央値90.0%),地域周産期母子医療センター平均値48.5%(中央値50.0%)と60.8%(中央値70.0%)であった。

今回の調査結果から,入院中や退院時の高度医療依存児に歯科は必要とされているが,実際に連携している割合が明らかに少ないことが確認できた。今後,医科と歯科との医療連携の促進や,病院内や在宅で高度医療依存児に対応できる歯科側の環境整備が重要であることが示唆された。

著者関連情報
© 2019 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top