2013 年 51 巻 4 号 p. 440-446
歯周炎原因菌であるAggregatibacter actinomycetemcomitans の病原性の詳細な研究,治療薬や予防薬の開発には動物モデルが必須である。本実験では動物モデルとしてカイコが本菌に対する良い動物モデルになる可能性を示した。次に活性酸素種のスカベンジャーであるアスタキサンチンのカイコを使った本菌による感染実験を行い,以下の結果を得た。1 .A. actinomycetemcomitans は殺カイコ活性を有していることが明らかとなった。2 .本菌による殺カイコ活性は,リポソームに組み込んだアスタキサンチンによって抑制された。3 .アスタキサンチンは,A. actinomycetemcomitans の増殖に影響を与えなかった。4 .アスタキサンチンは,カイコの体内の細菌数の減少を促進した。これらの結果よりA. actinomycetemcomitans の殺カイコ活性をアスタキサンチンが抑制することが示された。