本研究は, 未整備水田を対象に水管理との関わりの中で魚類がどのように水田を利用しているか明らかにすることを目的とした.調査の結果, 次のことが明らかとなった.1) ドジョウ, タモロコ, フナ属に加え, シマドジョウも水田で繁殖していると考えられた.2) ドジョウとタモロコでは水田の利用期間が異なった.3) 魚類の繁殖期に当たる灌漑初期の水田排水の流速が魚類の溯上を促す流速帯となつていた.4) 用排兼用型水路と双方向移動可能な水口・水尻の構造は, 水田において魚類が繁殖・成育できる可能性を高め, 水田水域の個体群の維持に寄与すると考えられた.