費用便益分析による事業評価の普及と, 厳しい財政状況のもとでの各種資源の節減などの観点から, 便益移転が注目されている.本稿では, 事業が完了し供用が開始された農業集落排水事業地区を対象に, CVMによつて得られた農業外4効果 (水洗化効果・宅内水周り改善効果・集落内水環境改善効果・公共域水環境改善効果) の計測結果から, 便益移転の可能性検証を目的とした.分析の結果, 農業外4効果の便益関数の移転と, 3効果 (水洗化効果, 宅内水周り改善効果, 集落内水環境改善効果) の便益評価額の移転が可能であることを確認した.