農業土木学会論文集
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東松浦半島内の盆地における冬季の地形風と夜間昇温過程
三浦 麻筑紫 二郎林 静夫田中 明
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キーワード: 半島, 盆地, 夜間昇温, 海洋, 地形風
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2004 年 2004 巻 231 号 p. 249-258

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抄録

佐賀県東松浦半島の盆地部において夜間に発生する気温の急上昇は夜間最低気温の発生時刻を左右する. 本研究では夜間昇温現象の発生過程を解明するために, 繋留気球による鉛直気温観測および熱画像による傾斜面温度観測を行った. 観測の結果, 海洋を渡ってきた温暖な空気が地形の影響を受け, 台地斜面を流下する地形風によって盆地部に移流することで夜間昇温が発生することがわかった. 台地部における風速が1ms-1以下で一時的に吹く場合には, 盆地部では静穏であり地上30m以上の領域だけで昇温した. 台地部における風速が1ms-1以上で継続して吹く場合には, 盆地部においても風が生じ昇温現象が発生した. また, 海洋を渡ってきた南西風が半島に吹走すると, 温暖な空気が盆地部の南方斜面を流下し, 鉛直および水平方向に拡大することで盆地部に昇温現象をもたらした. さらに, 熱画像によって地形的な影響を受けた温暖な空気が盆地部に移流することが認められた.

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