農業土木学会論文集
Online ISSN : 1884-7234
Print ISSN : 0387-2335
ISSN-L : 0387-2335
多雪山地小流域における陰イオンの収支解析
飯田 俊彰上木 勝司塚原 初男
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 1998 巻 195 号 p. 441-448

詳細
抄録

多雪地域での水域生態系への酸性降下物による影響を評価するため、山地小流域の試験流域 (34.7ha) で、降水、渓流水の量と水質を観測した。3年間にわたる実測データから、Cl-、 NO3-、SO42-の3種の陰イオンの試験流域での収支を解析した。積雪融雪は流域での陰イオンの動態に大きな影響を及ぼしていた。融雪初期の高陰イオン濃度融雪水の流出が渓流水の陰イオン濃度を一時的に上昇させているものと考えられた。また、各陰イオンはそれぞれ異なった流出特性を示した。生物学的作用によるNO3-の消費と風化によるSO42-の生成が、本試験流域での陰イオン収支の支配的要因であると考えられた。

著者関連情報
© 社団法人 農業農村工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top