動的土地利用計画の計画効果を評価する方法と考えられるマルコフ連鎖を道路計画に応用する場合の実用性および計算方法について検討した. 計算例として, 主成分分析で得られた結果を参考にし, 耕作放棄に影響が強いと見られる道路条件を変えて, 耕作放棄地率を推定した. 他の要因(専業農家率, 圃場整備率等)について, ここに示したのと同じ操作で行えば, 動的土地利用計画が構築されるものと思われる. また, マルコフ連鎖による推定に基づき, 耕作放棄を抑えるためには舗装道路延長割合の増加は, 幅員3.5m以上の道路延長割合の増加よりもよい効果があると判断できた. また, 美浦村での事例推定から, マルコフ連鎖による推定値を確率で表現できることを明示できた. マルコフ連鎖の推定方法は, 単要因変化による変化結果の推定にはよりよい, 便利な方法であると判断した.