1993 年 1993 巻 164 号 p. 141-146,a3
洪水流出解析に際し,課題として残されていた損失雨量について,降雨直前流量,先行降雨・蒸発散指数および現場浸透能試験結果を利用する3手法を用いてその分離を試みた。各手法で求めた浸透パラメータ(sorptivi-ty,最終浸透能)および斜面ライシメータで求めた粗度係数を用いて,洪水流出解析を行った結果,流出ハイドグラフとくにピーク流出量がよく再現できることが確認された。また,sorptivityの影響が小さいことから,計画排水量の決定には,浸透能試験結果を利用することが可能なことを示した。さらに,最終浸透能と透水係数との関係について,降雨パターンによって両者の間の関係が説明ができる可能性を指摘した。