前報の蒸発散算定を目的とした研究に引続き, 本報では, まず, 蒸発計の特性を整理し, それが地表と異なる点は周囲め大気からの局所的な移流や蒸発計自身の構造に起因する放射・熱収支の特性であると要約する。次に, 移流効果に関する研究においては, 設置地点の局所的な気象条件を反映するという特性を利用することができ, 蒸発計蒸発量は局地蒸発位としての役割があることを強調する。さらに, 補完関係は, 蒸発計蒸発量の持つ基準蒸発量と局地蒸発位としての役割を統合する概念であることを示し, 今後の蒸発散研究において, 空間的に小さい規模の気象環境の検討に, 蒸発計蒸発量が重要な役割を果たすことを強調する。