1993年の夏は記録的な冷夏であり, 畑作地帯の十勝では, 月平均気温が生育期に2℃以上も低く, 降水量は6月上旬に平年値を130.4mmも大きく上回り, 日照時間は88.3時間も不足した。低温, 日照不足, 多雨の複合型となった冷湿害の特徴といえる。最も被害が大きかった作物は豆類であり, 大豆の作況指数は13で, 小豆41であった。畑作物の作況指数と6月の降雨量との間に明白な負相関が得られた。このことから土壌の排水性で収量に明暗が生じ, 地域格差が生じた。こうした冷湿害を最小限にくい止めるためには, 農家は有機農法に徹することと, 行政は排水を主体とした土地基盤整備を促進することである。