臨床血液
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症例報告
リンパ管造影により乳び胸水が著明に改善したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫
森口 慎髙桑 輝人影山 健岡村 浩史南野 智西本 光孝中嶋 康博康 秀男中根 孝彦山本 晃中前 博久日野 雅之
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2021 年 62 巻 6 号 p. 554-559

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抄録

乳び胸水はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の症例にまれに認められる臨床徴候であるが,管理に難渋する場合が多く予後不良である。症例は59歳の女性で,DLBCLの診断時に右胸水貯留を認めた。化学療法に反応してリンパ腫病変は縮小したが胸水の増悪を認めた。胸水穿刺にて乳び胸水と診断し,絶食・中心静脈栄養管理を行うも効果は不良であった。乳び胸水の原因精査のため超音波ガイド下で鼠径リンパ節穿刺によるリンパ管造影検査を行った。乳びの漏出部位は特定できなかったが,検査翌日に胸水の著明な改善を認め,2ヶ月で胸水は完全に消失した。リンパ管造影検査は低侵襲で合併症が少ない検査であり,乳びの漏出部位の特定だけではなく乳び胸水の改善・消失にも寄与する可能性があるため,化学療法や栄養管理に反応しない難治性乳び胸水に対し検討すべき検査と考えられる。

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© 2021 一般社団法人 日本血液学会
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