臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例報告
同種移植後レナリドミド維持療法により移植片対宿主病が誘導されたと考えられた再発治療抵抗性多発性骨髄腫
塚田 信弘新垣 清登池田 昌弘宮崎 寛至飯塚 聡介吉識 由実子阿部 有鈴木 憲史
著者情報
ジャーナル 認証あり

2015 年 56 巻 7 号 p. 895-900

詳細
抄録

多発性骨髄腫に対する同種移植は長期生存が期待出来る治療と認識されているが,治療関連死亡のリスクなどから標準的治療とはなり得ていない。移植後の再発率が高いことも解決されるべき課題である。我々は同種移植後の早期再発のリスクが高いと判断された症例に対し維持療法としてlenalidomide (Len)投与を行い,移植片対宿主病(graft-versus-host disease, GVHD)の発症を認めた2例を経験した。1例では用量調節により継続が可能で,他の1例では投与中止により速やかにGVHDの改善を認めた。同種移植後のLen維持療法はGVHD発症のリスクがあるが,用量調節によりコントロール可能と考えられた。同種移植後のLen投与は直接の抗腫瘍効果とともに残存腫瘍に対する免疫反応の誘導も期待され,安全性および有効性の確立のために臨床試験を含めた症例の蓄積が重要である。

著者関連情報
© 2015 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top