2015 年 56 巻 7 号 p. 895-900
多発性骨髄腫に対する同種移植は長期生存が期待出来る治療と認識されているが,治療関連死亡のリスクなどから標準的治療とはなり得ていない。移植後の再発率が高いことも解決されるべき課題である。我々は同種移植後の早期再発のリスクが高いと判断された症例に対し維持療法としてlenalidomide (Len)投与を行い,移植片対宿主病(graft-versus-host disease, GVHD)の発症を認めた2例を経験した。1例では用量調節により継続が可能で,他の1例では投与中止により速やかにGVHDの改善を認めた。同種移植後のLen維持療法はGVHD発症のリスクがあるが,用量調節によりコントロール可能と考えられた。同種移植後のLen投与は直接の抗腫瘍効果とともに残存腫瘍に対する免疫反応の誘導も期待され,安全性および有効性の確立のために臨床試験を含めた症例の蓄積が重要である。