2015 年 56 巻 10 号 p. 2153-2159
同種造血幹細胞移植は,再生不良性貧血を根治させる治療法の一つである。しかし,至適な前処置や代替ドナーからの移植後の長期成績に関する十分なエビデンスがないため,主治医はしばしば移植の選択を躊躇する。HLA適合同胞ドナーを有するstage 3~5の40歳未満の患者には,初回治療としての移植適応がある。一方,非血縁ドナーや臍帯血などの代替ドナーからの移植は免疫抑制療法不応例に対して考慮される。標準的な前処置として用いられてきた大量cyclophosphamide (CY)は,心毒性軽減のため,fludarabineを加えた減量CYレジメンに変わりつつある。末梢血幹細胞移植は骨髄移植に比べて慢性GVHDの頻度が高いので避ける必要がある。代替ドナーからの移植では,移植後CYを用いた血縁ドナーからのHLA半合致移植が治療関連死亡や慢性GVHDの頻度が低いことから注目を集めている。