臨床血液
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症例報告
再生不良性貧血の経過中に薬疹に伴い生じた著明な反応性形質細胞増加
山本 正英粂川 華恵佐々木 宏治村田 諭孝大木 学黒須 哲也福田 哲也新井 文子村上 直己三浦 修
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2012 年 53 巻 5 号 p. 526-530

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抄録

61歳女性。再生不良性貧血に対しcyclosporin Aで治療を行うも反応せず,発熱・腹痛で入院。左付属器周囲の腫瘤と子宮癌を認めた。発熱性好中球減少症に対しcefepimeを開始したが左付属器炎に進行しmeropenemに変更。変更後から薬疹が出現し,同時期に末梢血,骨髄で異型性を認めた形質細胞の著明な増加を認めたが,免疫グロブリン軽鎖に偏倚はなく,M蛋白も認められなかった。反応性形質細胞増加と診断し,dexamethasoneの投与にて速やかに薬疹は軽快し,形質細胞も消失した。反応性形質細胞増加は悪性腫瘍,慢性感染,自己免疫疾患,溶血性貧血などに伴い生じることが知られているが,薬疹に伴い生じた報告は無い。時に本例の様に異型性のある形質細胞が著明に増加し形質細胞腫瘍との鑑別が形態学的に困難となる。そのためフローサイトメトリーや免疫染色を用いた病理検査を積極的に行い診断するべきである。

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© 2012 一般社団法人 日本血液学会
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