2009 年 50 巻 4 号 p. 289-294
若年初発多発性骨髄腫(MM)の治療として,自己末梢血幹細胞移植(auto-PBSCT)が第一選択とされることが多いが,自家移植では生存曲線はプラトーにならず,graft versus myeloma (GVM)効果にて治癒が期待しうる治療法として同種移植が注目されている。
当院でもタンデムauto-PBSCT後の再発1例と,化学療法で部分奏功後,auto-PBSCTを施行した2例の,計3例に同種骨髄非破壊的移植を施行した。しかし全例,骨髄での形質細胞の増生は認めないものの,形質細胞腫(plasmacytoma)単独の病型で再発・増悪を認めた。
この理由として,前処置に全身放射線照射が含まれていないことや,骨髄内病変には奏功しているGVM効果がplasmacytomaには奏功していないことが考えられ,若干の考察とともに,3例の臨床経過を報告する。