2009 年 50 巻 3 号 p. 187-191
症例は66歳,女性。2007年5月,右鎖骨部腫瘤が出現。6月,腫瘤が増大したため入院した。同部位より生検を施行し,CD20陽性diffuse large B cell lymphomaの診断が得られた。病期診断のために行ったGaシンチグラフィーで右鎖骨,右大腿骨,右膝関節,右足関節,左下腿に異常集積が認められた。しかし,単純X線及びCTでは明らかな異常所見を認めなかった。一方,MRIでは右大腿骨にT1強調画像で低信号域,T2強調画像で低信号域の中に一部高信号域を示し,同部位にも病変があることが示唆された。CHOP療法を開始し,速やかに鎖骨部腫瘤は縮小した。開始後7日目にリツキシマブを投与した。その深夜,トイレから立ち上がった際に左脛骨,腓骨遠位部および右大腿骨転子部を骨折した。両部位ともにGaシンチグラフィーで異常集積があり,病的骨折が考えられた。骨原発悪性リンパ腫は稀な疾患であり,その治療中に病的骨折をおこすという特異な経過であり,報告する。