臨床血液
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症例報告
All-trans retinoic acid治療中に高カルシウム血症を合併した急性前骨髄球性白血病microgranular type
久武 純一下間 順子
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2008 年 49 巻 6 号 p. 408-412

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抄録

症例は24歳男性。汎血球減少で受診。末梢血,骨髄で顆粒が少なく核のくびれた芽球,前骨髄球の増加を認めた。47, XY, t(15;17)(q22;q12), +21, PML-RARAmRNA陽性。M3vと診断しATRA療法開始。Day 5でAPL細胞1,000/μl以上となりidarubicin+Ara-C併用療法とした。Day 30より悪心,嘔吐,全身倦怠感が出現し,高Ca血症,腎機能障害を認めた。感染症は認められずATRAによる高Ca血症を疑った。ATRAを中止しPSL 1 mg/m2, elcatonin 80 Uを投与し5日後にCaは正常化した。末梢血,骨髄でAPL細胞の増加はなくday 45に寛解を確認した。我々の検索した範囲でATRA治療中の高Ca血症は少なく,またM3vでの高Ca血症の報告はなく稀な症例と考えられた。高Ca血症の原因として併用したfosufluconazoleの相互作用も疑われた。

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© 2008 一般社団法人 日本血液学会
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