臨床血液
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症例
急性リンパ性白血病の同種骨髄移植後に合併した腸管嚢胞性気腫
野田 昌昭竹内 陽子辻本 卓子瀧本 泰生沖田 肇
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2001 年 42 巻 9 号 p. 696-700

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抄録

症例は45歳男性。1997年2月急性リンパ性白血病と診断。初回寛解導入療法で完全寛解となり,強化療法を7クール後,同年11月13日にHLA適合の姉をドナーとする同種骨髄移植を施行した。移植後早期に腸管GVHDおよび肝臓GVHDが発症したが,いずれもステロイドパルス療法にて改善,以後経過良好であった。1998年6月5日(day 202), 下痢を伴わない腹痛が出現,胸腹部単純X線・CTにて上行結腸から横行結腸にかけての広範囲な腸壁内・後腹膜・縦隔に気腫性変化および腹腔内free airが確認された。縦隔気腫などを伴う腸管嚢胞性気腫と診断し,ただちに酸素吸入・ステロイドパルス療法などを開始,一週間後には自覚症状,画像所見とも著明に改善した。本症例において腸管嚢胞性気腫を発症した原因として,長期にわたるステロイド投与と慢性GVHDの両者が関与していると考えられた。同種骨髄移植後に腸管嚢胞性気腫を合併することは比較的稀であり,貴重な症例と考えられたので報告した。

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© 2001 一般社団法人 日本血液学会
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