2000 年 41 巻 9 号 p. 723-728
症例は46歳,男性。34歳時に好酸球増加(WBC 38,200/μl, 好酸球74%)と心嚢水貯留を認め,hypereosinophilic syndrome (HES)と診断された(染色体は正常核型)。化学療法にて軽快し以後無治療であったが,発症から12年後,発熱のため当院入院。WBC 3,000/μl(芽球70%, 好酸球3%),骨髄は95%が芽球であった。芽球はmyeloperoxydase (MPO)染色陰性,CD13, CD19, CD34, HLA-DR, cytoplasmic MPOが陽性でありCD19陽性acute myeloblastic leukemiaと診断した。核型は46, XY, t(6;21)(q13;q22), add(7)(q11)で,AML1遺伝子の再構成は認めなかった。AdVP療法にて完全寛解となる。21q22と7qの異常を認めたことから,HESに対する化学療法が白血病の発症に関与した可能性も考えられた。