臨床血液
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臨床研究
非血縁者間骨髄移植におけるFK506予防投与の検討
濱崎 考史八木 啓子井上 雅美坂田 尚己岡村 隆行安井 昌博雀部 誠岸本 朋子井上 彰子河 敬世
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2000 年 41 巻 5 号 p. 430-436

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抄録

当科で施行した非血縁者間骨髄移植(UR-BMT)において,タクロリムス(FK506)単独あるいはメソトレキセート(MTX), メチルプレドニゾロン(mPSL)を組み合わせてGVHD予防を行った48例を対象に,GVHD発症頻度と毒性について後方視的に検討した。FK506単独群の10例中5例と,FK506+mPSL群の30例中11例にIII度以上の急性GVHDが発症した。重症の急性GVHD発症例は,FK506の副作用のために早期中断した症例と,HLA遺伝学的不適合移植例であった。早期中断理由は腎障害がもっとも多く,FK506の初期投与量が多かった症例と,メルファラン使用例において80%, 50%と高頻度であった。HLA遺伝学的不適合の5例含むFK506+MTX+mPSL群8例では,III度以上の急性GVHDの発症はなかった。UR-BMTでのFK506予防投与は,MTXとの併用と,腎障害を回避するための初期投与量の設定とL-PAM使用への注意が必要と考えられた。

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© 2000 一般社団法人 日本血液学会
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