臨床血液
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症例
H2-ブロッカーにより発症した溶血性貧血と血小板減少症
瀧本 理修茂木 良弘倉 敏郎新津 洋司郎
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1997 年 38 巻 2 号 p. 124-128

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抄録

症例は69歳女性。脳梗塞後遺症,僧帽弁置換術後および胃潰瘍穿孔術後で当科紹介入院中に肺炎を発症,全身状態が悪化し経口摂取不良となったため,中心静脈栄養を開始した。この際ラニチジン経口投与をシメチジンの経静脈投与に変更したところ,10日目頃より急激に貧血が出現した。LDH上昇,ハプトグロビン低下から溶血性貧血が疑われたが,原因が特定されず輸血にて経過観察していた。しかしその後,徐々に血小板減少も見られたため,シメチジンを中止したところ貧血,血小板減少は劇的に改善した。その後,再度ラニチジン経口投与を行ったところ,貧血と血小板減少が再発した。H2ブロッカー投与によりしばしば血小板減少は経験されるが,溶血性貧血を合併することは稀であり若干の文献的考察を加え報告する。

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© 1997 一般社団法人 日本血液学会
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