臨床血液
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症例
赤芽球の低形成と血小板減少を伴ったImmunoblastic lymphadenopathy-like T cell lymphoma
白川 親榎本 寛田中 久夫米川 智入交 清博堀内 篤
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1996 年 37 巻 8 号 p. 701-706

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抄録

71歳の女性が全身リンパ節腫脹と貧血,血小板減少のため当科に紹介入院した。入院時末梢血液検査では,RBC 195×104l, Hb 5.0 g/dl, Plt 2.2×104l, 網状赤血球は認められなかった。骨髄検査所見は,有核細胞数1.0×104lと低形成で,巨核球は認められず,また赤芽球は0.3%と著減していた。血清検査では,多クローン性高γグロブリン血症とCoombs試験(直接,間接)を含む自己抗体の産生を認めた。リンパ節生検の結果,IBL様T細胞リンパ腫と診断された。cyclophosphamide, doxorubicin, etoposideによる治療後,リンパ節の縮小と高γグロブリン血症の改善とともに骨髄有核細胞数の回復と血小板数の増加をみとめたが,貧血は改善せず骨髄中の赤芽球も0.5%と依然低値であった。本症例の赤芽球の低形成の原因は不明であるが,赤芽球癆の発症と類似の免疫学的異常が考えられた。

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© 1996 一般社団法人 日本血液学会
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