臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例
胸部異常陰影で発症し末期に白血化およびhemophagocytic syndromeの合併を認めたNK細胞リンパ腫
森本 聡平田 俊幸辰巳 哲也山形 昇芦原 英司後藤 秀夫稲葉 亨藤田 直久河 敬世中田 哲雄島崎 千尋中川 雅夫
著者情報
ジャーナル 認証あり

1996 年 37 巻 8 号 p. 682-687

詳細
抄録

症例は57歳の女性。検診にて右肺に結節影を指摘され,精査中に右頚部リンパ節腫脹が出現,生検にて悪性リンパ腫(diffuse, small cleaved cell)と診断され,VEPA療法等により順調に経過していた。7カ月後発熱,汎血球減少と共に末梢血にlarge granular lymphocyte (LGL)が出現,骨髄にてLGLの増加と血球貪食像を認めた。LGLの表面抗原はCD2 (+), CD3 (-), CD16 (+), CD20 (-), CD56 (+), T細胞受容体遺伝子のβおよびγ鎖は再構成なく,EBウイルスのDNA termini probeを用いた検索でmonoclonalityが証明された。初診時のリンパ節生検標本の再検討でCD3 (-), CD20 (-), スタンプ標本でLGLを認めNK細胞リンパ腫が末期に白血化したものと考えられた。また血球貪食症候群(HPS)を合併し,血中のIFN-γ, M-CSF, G-CSF, IL-6の高値を認め,これらのサイトカインのHPS合併への関与が考えられた。

著者関連情報
© 1996 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top