臨床血液
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症例
シクロスポリンが奏効したEvans症候群の1例
通堂 満森口 寿徳
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1996 年 37 巻 11 号 p. 1289-1292

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抄録

症例は57歳男性で貧血(Hb 8.7 g/dl)と高度の血小板減少(0.3万/μl)による出血傾向のため入院。Evans症候群と診断し,プレドニゾロン60 mg/日投与により貧血の速やかな改善がみられたが血小板減少には無効であった。メチルプレドニゾロンパルス療法,ダナゾール,アザチオプリン,シクロフォスファミド,ビンクリスチン,γ-グロブリン大量療法,摘脾などいずれの方法によっても長期の寛解は得られなかった。生命をおびやかす出血傾向のため,デキサメサゾンパルス療法(40 mg/日,4日間)を4週ごとに3コース行い,3コース目よりさらにシクロスポリン300 mg/日を併用したところ奏効し,血小板20万/μlまで回復した。シクロスポリン減量により再発したが,その増量により再び効果を示し,現在まで血小板10万/μl以上を14カ月にわたって維持している。副作用は認められず,シクロスポリン療法は難治性Evans症候群に対する有力な方法の1つであると思われる。

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© 1996 一般社団法人 日本血液学会
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