臨床血液
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症例
低γ-グロブリン血症と脳梗塞を認めたCommon ALL例
鹿嶋 広久杉田 憲一榊原 均江口 光興古川 利温
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1993 年 34 巻 6 号 p. 753-758

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抄録

急性リンパ性白血病(ALL)の治療中に低γ-グロブリン血症と脳梗塞を認めた症例を報告した。本症例では,中枢性白血病の予防のための放射線治療前後に発熱,発疹を認めた。さらに,髄液の蛋白の増加と末梢血で好酸球の増加があり,維持療法時に嘔気,嘔吐を認めた。感染症による脳梗塞の可能性から,各種ウイルスの同定を試みたが,同定し得なかった。薬剤については,Methotrexate (MTX), L-asparaginaseの影響を考えた。MTXの内服により,嘔気,嘔吐がみられ,MTXによる副作用の可能性は充分考えられた。放射線の影響についても考えられた。しかし,放射線照射後10年以上経過してからの発症が多いとされている。ウイルス,薬剤ないしは放射線の影響などを考えたが,確定するには至らなかった。低γ-グロブリン血症と脳梗塞との関係も不明であった。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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