臨床血液
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症例
Deferoxamineにより血液学的改善をみたrefractory anemiaの1例
友安 茂川上 恵一郎鬼塚 淑子石山 泰二郎鶴岡 延熹
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1993 年 34 巻 6 号 p. 743-747

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抄録

症例は大球性貧血,赤血球大小不同,奇形赤血球,血小板減少を認めた60歳,女性である。骨髄は低形成で好中球の核異常,巨核球数の減少がみられた。染色体分析では47, XX, +8であった。Refractory anemiaと診断し,酢酸メテノロンを投与したが血液学的改善はえられなかった。Deferoxamine (2g/day)の24時間点滴静注を開始した。治療開始後10日ごろから赤血球,血小板は増加しはじめdeferoxamine投与中止後も赤血球の上昇傾向は持続した。骨髄は正形成となり巨核球数もほぼ正常まで回復した。しかし,初診時と同様の赤血球大小不同,奇形赤血球,MCH, MCHCの異常,染色体異常は続いていた。これらの結果から,deferoxamineは異常クローンを撲滅するのではなく,血球分化を誘導したものと推定された。Deferoxamineの副作用としては球後視神経炎がみられたが,deferoxamine投与中止で消失した。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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