1993 年 34 巻 11 号 p. 1445-1451
小児の特発性血小板減少性紫斑病患児73例を臨床経過から,group A: 発症後,6週間以内に治癒した34例。group B: 発症後,血小板減少が6週間以上持続したが,6カ月以内に治癒した10例。group C: 発症後,6カ月以後にも再燃あるいは血小板減少が持続した30例。の3 groupに分類し,おのおのの治療方法と臨床病態との関係を検討した。発症時にgroup Aの82%, group Bの56%で先行感染が確認でき,臨床症状ではgroup Cに比べてgroup A, group Bの患児に鼻出血や粘膜出血斑が多くみられた。ステロイド剤投与や大量ガンマグロブリン療法などの積極的な治療によってgroup A, group Bでは一時的に急速な血小板数の増加効果を認めたが,治療開始10日目以後から再び血小板減少を認める症例が多く,かえって無治療例に比べて血小板減少が遷延した。以上から,積極的な治療は病初期の急速な血小板増加が期待できるものの,治療による経過の修飾が危惧された。血小板数が10×104/μl以上に増加した時点でのPlatelet associated IgG値はgroup Cが有意に高値を持続していた。