1980 年 77 巻 8 号 p. 1242-1249
胃癌18例,胃潰瘍10例,慢性胃炎50例の胃液CEA値を測定した.胃癌例胃液CEA値は,非癌例より有意に高く,その陽性率は血漿の場合の約2倍で,胃液CEA測定の意義が示された.胃粘液CEA値は,胃漿液の値より高値だつた.胃液CEAのZ-gel法値とSandwich法値とは,よく正相関を示し,前者が後者より高値を示した.分割採取胃液CEA値の経時的変動は,基礎分泌期が,ガストリン刺激期より高値で,刺激後は,下降傾向を示し,同時測定の酸度,ペプシン活性と液量とは,CEA値とほぼ逆の動きを示した.胃液CEA値への酸とペプシンの影響は,少なかつたが,液量の影響は大きく,液量が多いほど,CEA値は一般に低く,癌と非癌例との差が顕著になつた.