日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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イヌの胃十二指腸粘膜におけるガストリン細胞分布の定量的評価
高橋 忠雄島津 久明谷 昌尚加藤 洋
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1977 年 74 巻 10 号 p. 1362-1369

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抄録

雑種成犬9頭を対象として, その胃幽門洞部, 幽門管部および十二指腸起始部の粘膜内に存在するガストリン細胞 (G細胞) を蛍光抗体法染色によつて検出したのち, その分布の状況を定量的に検討した. まずガストリン分泌の生理面を考慮して各領域の粘膜表面の単位区画内に含まれるG細胞数を算出すると, 幽門洞部と幽門管部では大弯のG細胞数が有意の高値を示していた. これには粘膜固有層の厚さの因子が関与していたので, これを加味した粘膜の単位体積あたりのG細胞数についてみると, 胃底腺-幽門腺境界に近接した幽門洞部の粘膜に最も高密度に分布していた. この場合, 大弯と小弯との間には有意の差異がみられなかつた. なお各領域の全G細胞数は幽門洞部と幽門管部で圧倒的に多く, 十二指腸起始部でははるかに少数であつた.

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