1972 年 69 巻 2 号 p. 165-177
肝障害と小腸内好気性菌との関係を調べるために, 先ず我々の考案した五種類の小腸ゾンデとMiller-Abbott管を用いて各ゾンデの長短を比較検討した.次いで非肝障害例と肝障害例の小腸内好気性菌叢を調べ肝疾患別, 肝機能別及び胃液pHとの関係を検討した.結果は, 1) 細菌検索用の小腸ゾンデとしては我々の考案した複管カバー付ゾンデが最もよい. 2) 各好気性菌の検出率は肝障害例に於いて高いが特にg (-) bacilliは著明である. 3) 各肝疾患とg (-) bacilli検出率との関係は, 肝硬変症に於いて著明に高い. 4) 各肝機能検査とg (-) bacilli検出率との関係は, Z. T. I, Al-Pase, A/G比, T. T. T.障害例で明らかに高い. 5) 障害例の平均胃液頭は非肝障害例のそれよりも高い. 6) pH4以上の症例に於いてg (-) bacilliの検出率が肝高い.