2021 年 118 巻 8 号 p. 742-748
目的:クローン病(CD)に対する腸管手術の既往がある症例の妊娠・出産の現状と留意点を明らかにすることを目的とした.方法:CD腸管手術後に妊娠した自験29例,45妊娠の経過を検討した.結果:正期産は55.6%,早産を13.3%,自然流産を20.0%に認めた.分娩様式は経膣分娩が45.7%で,帝王切開が40.0%であった.出生した35児のうち低出生体重児は14.3%であった.結論:CDで腸管手術歴があっても妊娠・出産は可能で,異常なく経過する例が約50%を占めた.しかし,早産,流産,低出生体重児,帝王切開施行例は一般より多く,原病の病勢コントロールと妊娠経過に十分留意することが必要と考えられた.