2021 年 118 巻 7 号 p. 607-617
IBD診療における内視鏡には正確な診断や病勢把握に加え,治療効果の判定,サーベイランス,バルーン拡張術など,診断から治療に至るまでさまざまな役割がある.近年,IBD患者の長期的な予後の改善が注目され,粘膜治癒の達成や腸管障害の発生・蓄積を防ぐことがIBDの治療目標となっている.今回の改訂ガイドラインでは,目指すべき粘膜治癒とその評価法,サーベイランス内視鏡における生検方法,CDの狭窄病変に対する内視鏡治療など,IBDの内視鏡に関する新たなエビデンスが多数反映されている.しかし,IBD患者の長期予後の改善に果たすべき内視鏡の役割はいまだ多く残されており,今後のさらなるエビデンスの構築が期待される.