日本消化器集団検診学会雑誌
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大腸がん検診における精検未受診がもたらす不利益
精検の重要性
松田 一夫渡辺 国重
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2003 年 41 巻 2 号 p. 162-169

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抄録

大腸がん検診における精検未受診がもたらす不利益および精検受診勧奨について検討した。まず検診後2年以内の浸潤大腸癌の発見経緯 (癌発見が遅れた理由) を (1) 初回検診発見,(2) 潜血偽陰性-逐年・隔年検診発見,(3) 精検偽陰性,(4) 精検未受診,(5) 中間期がんに分け, Kaplan-Meier法による累積生存率およびCoxの比例ハザードモデルによる死亡のリスク比を検討した。精検未受診群の累積5年生存率は39.3%と5群の中では最も不良であり, 精検未受診群の死亡のリスク比は3.83 (対初回検診発見群,p=0.018) と有意に高かった。また検診後の追跡期間を3年に延長して検討した結果, 精検未受診群の死亡リスク比は3.91 (対精検受診群, p=0.012) であった。本来, 精検受診勧奨は精検未受診者全員に対し平等に行うべきである。しかし全国で36%が精検未受診である現在, 高危険群 (潜血2回陽性かつ潜血合計高値) に対し特に強力に精検受診勧奨を行うことが最低限必要と考える。

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