日本消化器集団検診学会雑誌
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大腸集検で発見された虫垂癌の1例
宗本 義則飯田 善郎浅田 康行斎藤 英夫藤沢 克憲笠原 善郎三浦 将司
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キーワード: 大腸集検, 虫垂癌
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2000 年 38 巻 5 号 p. 618-622

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抄録

原発性虫垂癌は比較的稀な疾患であり, 早期には症状が乏しく診断が困難な疾患である。
今回我々は, 大腸集検で発見された虫垂癌を経験したので報告する。患者は67歳女性で大腸集検の便潜血陽性で当院を受診した。大腸内視鏡検査で盲腸部に易出血性の柔らかい腫瘍を認めた。腫瘍と虫垂根部の位置関係は不明であったが生検で高分化腺癌であった。
虫垂癌, 盲腸癌の診断で回盲部切除を施行した。虫垂粘膜は, 絨毛状腺腫でおおわれ, 盲腸側へ進展していた。大部分は良性の腺腫であったが一部浸潤性の腺癌の部を認めわずかに筋層に入り込んでいて虫垂癌と診断した。
今後大腸集団検診の増加にともない便潜血検査陽性で発見される虫垂癌も増加するものと思われる。虫垂癌の存在を念頭において, 虫垂入口部の注意深い観察が必要である。

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