消化器集団検診
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名鉄グループ大腸集検における便潜血検査と問診票の検討
早川 誠楠神 和男西尾 雄司杉原 真松岡 恭子中村 元典藤田 孝義石川 大介
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1999 年 37 巻 4 号 p. 427-431

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抄録

3年間 (1994年4月~1996年3月) に名鉄グループの34,066名がOCヘモディアによる免疫便潜血2日法を受けた結果2,753名が陽性となり, 二次検診によつて大腸ポリープ (腺腫, 過形成) 478病変, 痔疾65病変, 憩室50病変, 早期癌42病変, 進行癌17病変が発見された。OCヘモディアのカットオフ値を150ng/mlに設定することにより, 164名が便潜血検査陰性であつたが問診に異常がみられた3名の大腸癌が発見された。この3例の便中ヘモグロビン最高濃度は23ng/ml, 46ng/ml, 78ng/mlであつた。検診有所見者689名の問診12項目を問診記入者34,066名と比較すると, 「腹痛」, 「便に血液」で有意に高かつた (x2検定: P<0.01) 。一方, 発見癌59名で比較すると, 腹痛 (11/59), 便に血液 (7/59) と高く, 他の10項目は低かつた。便潜血検査による癌検診を施行するさいに, 低ヘモグロビン値を示す大腸癌症例をいかにして発見するかが重要な課題であり, 便潜血反応が陰性であつても問診で「腹痛」, 「便に血液」を訴える場合には積極的に二次精密検査を勧める必要があると考えられた。

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© 日本消化器がん検診学会
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